三井不動産(株)様
今回の撮影に協力して下さったのは
千葉県船橋市浜町 2-1-1 ららぽーとTOKYO-BAY 南館1F
HP:https://mitsui-shopping-park.com/lalaport/tokyo-bay/
今回お話を伺った方のご紹介
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三井不動産㈱
商業施設本部 商業施設運営部 運営企画グループ 主事
佐藤 健弘(さとう たけひろ)
商業施設の管理・運営を担当。
担当物件は三井ショッピングパーク ららぽーとTOKYO-BAY、
ビビット南船橋(いずれも千葉県船橋市)、
ラブラ万代、ラブラ2(いずれも新潟県新潟市) -
株式会社スペース
商環境研究所 クリエイティブ事業部 場づくり室 デザイナー
河原りょうこ
商空間のマスタープランから企画・環境デザイン~にぎわいの場づくりまで。
商空間創造に対し幅広く関わるチームの中で、
主に商業企画・設計業務に従事。 現在“人と空間の最適調和”をテーマに、
さまざまな施設づくりや場づくりに携わっている。
三井不動産㈱様企業概要
1941年設立。三井不動産グループでは、オフィスビル、商業施設、住宅等において、賃貸、分譲、マネジメント等の事業を幅広く展開しております。従業員数1,776名(2021年3月末現在)
商業施設では、「Growing Together」のコンセプトのもと、地域に根ざし、お客さまとともに育んでいく商業施設の新しいカタチを実現すべく、事業を推進しています。ただ物を売る場所ではなく、豊かな時を過ごせる場所を提供するために。目指しているのは、常にお客さまの声に耳を傾け、何が求められているのかを敏感にとらえることで生まれる、新しい体験や発見に満ちあふれた空間の創出です。
ファッションをはじめ食やエンターテインメント施設などが集結した「三井ショッピングパーク ららぽーと」(国内17施設(2022年6月時点))や、明るく開放的な街並みの中でブランドアイテムのショッピングをリーズナブルに楽しめる「三井アウトレットパーク」(国内13施設(2022年6月時点))など、日本全国の地域・コミュニティに合わせ、さまざまなタイプの商業施設を展開しています。更に、海外でもクアラルンプールや台湾諸都市、上海において商業施設を推進しています。
㈱スペース様企業概要
1948年創立、従業員数(連結892名(2021年12月末現在)) 商空間プロデュース企業。お客様の経営理念や事業戦略に基づき「なぜその空間が必要なのか」という目的から共に考えます。これまで培ってきた空間づくりの力を最大限に活かしながらも、社外のプロフェッショナルを巻き込み、従来の考え方にとらわれない最良のチームで空間の可能性を追求します。「明日が、笑顔になる空間を」というスローガンのもと、社会性と事業性を両立させ、そこを訪れる人や暮らす人の思い出となるような場所を創造し続けます。
現在の三井不動産㈱様のSDGsやサステナブルなお取組みはいかがでしょうか?
〈佐藤さん〉三井不動産グループでは、グループのロゴマークである「&マーク」に象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、グループビジョンに「&EARTH」を掲げ、社会・経済の発展と地球環境の保全に貢献しています。
「&EARTH」は、三井不動産グループの街づくりが常に地球とともにあることを認識し、人と地球がともに豊かになる社会をめざしていることを表しています。
商業施設における具体的な取り組み事例としては、「&EARTH 衣料支援プロジェクト」があります。これは全国の当社グループの商業施設に、お客様から不要な衣料品をお持ちいただき、NPO 法人「日本救援衣料センター JRCC 」を通じて世界各国の難民や被災者の方々へ寄贈する活動です。
この活動を通じて地球規模の課題(紛争・格差・貧困・災害)を解決することを目指しており、これまでに24回開催し、累計実績(2021年秋時点)は、参加者約11.9万人、寄贈衣料約600トンになりました。
現在の㈱スペース様のSDGsやサステナブルなお取組みはいかがでしょうか?
〈河原さん〉(株)スペースは、「商空間の創造を通じて、豊かな社会の実現に貢献します」を理念に掲げています。ここでの「豊かな社会」とは、経済成長と社会課題解決を両立し、持続可能な発展を可能としている社会です。
私たちは、「空間の可能性を追求する」というMISSIONを通じて社会に価値をもたらすことにより、自社と社会双方の持続可能な発展を目指し、7つの重要課題を掲げ取り組んでいます。
その中でも、エネルギー、資源といった環境課題にバリューチェーン全体を通して取り組み、環境負荷の少ない事業を目指すこと。公平・公正な取引を徹底し、人権や労働衛生にまで配慮した調達を目指す「持続可能な調達の推進」で、これらは「NUNOUSⓇ」の考え方とも一致すると考えています。
NUNOUSをなぜご採用頂けたのか?どこに魅力を感じられましたか?
〈河原さん〉
ちょうど設計を考えていたタイミングが、社会全体がSDGsや環境配慮について目を向けだした頃で、これからの空間づくりにおいても、環境への配慮を意識した設計は必要不可欠であると感じていました。そんな折、三井不動産様より商業施設内に展開する軽飲食区画のPOP UP店舗の設計依頼を頂きました。施設側で店舗としての設えを全て用意し、実際に商品を販売するブランド様に最小の設備投資で出店いただけるPOP UP店舗は、スクラップ&ビルドを繰り返さずに店舗を刷新できる〈サステナブルな仕組み〉であると考えました。
このサステナブルな仕組みを空間づくりにおいても素材を通して表現したいと考え、素材選定を進めていた際に設計業界の知人の紹介で「NUNOUSⓇ」に巡り合いました。
〈佐藤さん〉
比較的短期間でテナントを入れ替えていく「ららぽーとTOKYO-BAY POP UP SHOP〈LaLa SWEETS〉」の性質上、どんな業態にも馴染むデザインであることがポイントでした。その点、「NUNOUSⓇ」は「シンプル」で「高級感」があり、「どんな業態にも馴染みやすい点」が魅力で評価できました。
〈河原さん〉
「NUNOUSⓇ」の魅力はまさに「唯一無二」の素材であること。
一つとして同じ表情のものがなく、独特の光沢と布ならではの柔らかい質感に魅了されました。
POP UP店舗ならではの特徴として、あくまで主役はその区画に出店するブランド・商品であるため、店舗としてもデザインテイストに偏りが生まれないように意識をしました。
導入後のご感想は?
〈河原さん〉
実際に、店舗の顔となるカウンター腰壁に「NUNOUS SKIN 0.6mm ライトグレー」を採用させていただきましたが、店舗全体の空間デザインともうまく溶け込みながら、無彩色の中にも様々な表情があり、素材そのものがコンセプトの魅力を体現していると感じました。
〈佐藤さん〉
素材自体がシンプルなため、サイネージで店舗のオリジナリティを出しやすい印象です。テナント様からも
「どんなデザインでも合う素材なことに加え、サイネージを採用しているおかげで、販促物を制作しなくて済むためとても有難い。」というコメントをいただいており、テナント様目線でも、サイネージを利用した店舗デザインとの親和性が高い印象を持たれているようです。実際、日々の施設管理の実務を担うオペレーションセンターの方からも、
「これまで同区画にご出店いただいた、いちご飴、ブラウニー、芋菓子、いずれの業態にも馴染んでいて素敵です!」
との感想をいただいています。
今後向かうべきSDGsやサステナブルの展望、力を入れていくお取組みについてはいかがですか?
〈佐藤さん〉
三井不動産グループでは、重点的に取り組む6つの目標を以下のとおり策定しており、「Society 5.0」の実現、SDGsの達成への貢献に向けた取り組みを推進しています。
1.街づくりを通した超スマート社会の実現
2.多様な人材が活躍できる社会の実現
3.健やか・安全・安心なくらしの実現
4.オープンイノベーションによる新産業の創造
5.環境負荷の低減とエネルギーの創出
6.コンプライアンス・ガバナンスの継続的な向上
2021年11月には「脱炭素社会の実現」、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」に関し、グループ指針も策定しました。今後も街づくりを通じた社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
〈河原さん〉
人と空間のより良い関係性構築を目指す私たちにとって、ESGの視点で、SGDsの達成に繋がる行動をすることは、必要不可欠になると思います。今は、一種のブームのように言葉だけが先行し、実態が伴わないウォッシュのケースも散見されますが、本質的に物事を理解し、それをクリエイティブな視点で解決していく。これが、私たち空間デザイナーが取り組むべき姿勢だと考えています。
そのために、SDGsの背景にある社会課題への理解を深める勉強会を積極的に開催したり、メーカーや企業が持つ課題を把握した上で、新しい取り組みを共創するなど、空間づくりの企画・設計段階から、サステナブルな視点を盛り込む取組みも広げたいと思います。
今後は、施主、設計者、メーカー、クリエイターなど、多様な立場の人が入り交じり、ものづくりや場づくりを考える機会を作ることを、サステナブルな社会を目指すうえで検討したいと思います。
編集後記
日本を代表するデベロッパーとして業界をリードする三井不動産㈱。同じく商空間プロデュースで定評のある㈱スペース。
NUNOUSが初めて、大型商業施設の腰壁にご採用頂いた案件。それまでのNUNOUSは難燃や不燃など取得していないことから、消防法適用外の用途での採用が続き、大型商業施設の腰壁というチャレンジ案件でしたが、㈱スペース様の細やかなフォローを頂きながら空間に馴染ませて頂きました。
本事例は、定期的に中身の販売店だけが入れ替わることを前提にしたサステナブルな店舗設計で、「どのような業態のお店にも合う仕上げ材」ということがキーワードになります。事実、昨年のテナントは間接照明が昼光色でしたが、取材日に営業していたテナントは電球色を採用しており、クールなイメージのお店から温かみのあるイメージのお店に変わっていました。ライトグレーのNUNOUS SKINの色は導入時から変わっていないので、照明の色が変わるだけでも見え方に変化があり、テナントの印象も大きく変わることを発見しました。
これからの空間設計にはSDGsやサステナブルな事業展開を見据えると、必然的に環境や、関わる人への配慮と具体的な行動が必要になります。これらに特に注力し業界を牽引する三井不動産㈱様、空間創造での企画力が高い㈱スペース様と一緒にお仕事させて頂けたことは、NUNOUSブランドにとって価値のある導入事例になりました。