NUNOUS SUSTAINABILITY JOURNAL

株式会社竹中工務店様 × hokkyok株式会社様

本オウンドメディアでは、セイショク(株)が開発した環境系新素材「NUNOUS🄬」をご採用頂いたクライアント企業様とデザイン設計企業のご担当者様それぞれに、現在取り組まれているSDGsやサステナブルな事例のご紹介や、その背景にある未来への想いをインタビュー・掲載させて頂き、現在NUNOUSの導入をご検討されている方々に向けて、持続可能なより良い社会にするための活動の参考にして頂けるよう発信して参ります。

今回の撮影に協力して下さったのは

竹中セントラルビル サウス
東京都江東区新砂1-3-3

今回お話を伺った方のご紹介

  • 後藤倫太郎さん ㈱竹中工務店 開発事業本部 不動産開発部 不動産開発1グループ長

  • 奥谷将之さん ㈱竹中工務店 東京本店 設計部 設計第5部門 インテリア1グループ 主任  
    MIYASHITA PARK、東京ベイ東急ホテルもhokkyok㈱と協業

  • 藤井北斗さん  hokkyok㈱ アートディレクター/グラフィックデザイナー 
    日本サインデザイン賞を毎年受賞

  • 大川菜奈さん  hokkyok㈱ プロダクトデザイナー 
    質感のある立体的なサインのデザインを担当

㈱竹中工務店様の企業概要 https://www.takenaka.co.jp/

(奥谷さん)
竹中工務店は1610年(慶長15年)の創業以来、建築を専業とし、ランドマークとなる数多くの建築物を手掛け、社会発展の一翼を担ってきました。宮大工の棟梁であった初代 竹中藤兵衛正高から受け継がれてきた精神は、様々な「作品」となって国内外へ、また建築の枠を超えて、豊かで安心な「まちづくり」に広がっています。

hokkyok㈱様の企業概要 http://hokkyok.com/

(藤井さん)
hokkyok㈱はグラフィックデザインを軸に、立体・空間まで拡がるデザインを行う会社です。ロゴマークやポスター、パッケージなどのほか、サイン・展示計画、アートワークなど幅広く活動しています。「モノ」としての物理的な厚みと、背景にあるストーリー。グラフィックの裏に隠れる2つの奥行きに着目し、デザインやアートワークを行なっています。

現在の㈱竹中工務店様のSDGsやサステナブルな取り組みはどういったものでしょうか?

(奥谷さん)
竹中工務店は「まちづくり総合エンジニアリング企業」として、社会課題を解決しサステナブル社会を実現するための重要課題を特定しています。それらを「持続可能な建築・まちづくり」「環境との調和」「技術革新と共創」「働き方・生産性改革」「着実な生産プロセス」「健全な組織基盤」6つのカテゴリーに分けてSDGsとの紐づけを行い、それぞれの課題解決に向けて実行していく方策や目標値を定め、活動計画として実践しています。

具体的には、脱炭素社会の実現に向けた、建物のライフサイクルにおけるCO2削減や、BIMデータを元にしたデジタルデータに基づくものづくりの推進、自治体と連携したまちづくり活動など様々です。
また、SDGsの視点から「スクラップ&ビルドからストック活用へ」という価値観が広く浸透しつつある現在、時を経た建物に新たな機能を付加することで資産価値を高め、事業性を向上させる取り組みも重要であると考え、歴史的意義を持つ建物の保存・再生や、オフィスビルストック再生にも取り組んでいます。
本プロジェクトもその一つです。1999年に竣工した築23年の既存オフィスビルを、近年の脱炭素に対する社会的要請や働き方の多様化に伴うテナントニーズの変化に対応したスマートビルに改修しました。様々な先端技術と共に成長し進化するスマートビルと位置付け、関連する技術の開発と実践を継続的に展開し、オフィスビルストック再生のモデルケースとして提案していきます。

現在のhokkyok㈱様のSDGsやサステナブルな取り組みはどういったものでしょうか?

(藤井さん)
グラフィックデザインにおけるサステナブルというのは、時間軸だと思います。弊社の仕事は、VI・CI計画やサインデザインなど長期間にわたって使用するデザインの仕事が多く、反対に、イベントやキャンペーン等の短期で消費されるデザインは少ないです。そのため常に長く使っても飽きのこないデザインを心がけています。

NUNOUSをなぜ採用して頂けたのでしょうか?どこに魅力を感じられましたか?

(後藤さん)
設計者から「当社作業服をサインに生まれ変わらせることができる」とNUNOUSを紹介され、本ビルの豊かな共有空間に良いアクセントになると考えて採用しました。改修のコンセプトとして「ribbon」「REBORN」を掲げており、作業服として活躍した再生素材が新たにこのビルで生まれ変わり再び活用できることに魅力を感じました。

(奥谷さん)
竹中セントラルビル サウスは、当社グループ企業7社が入居する新たなグループ拠点です。そのため、グループならではのデザインを考えていました。またプロジェクトの位置づけ上、マテリアル選定においても、環境負荷低減に貢献可能な内装材の採用をテーマとしていました。
そこで、以前にもお付き合いのあったセイショクさんにお願いして、NUNOUSを当社の作業服で作って何かに活用できないかと考えました。サインデザイナーのhokkyokさんにも、プロジェクトの性格を伝えサインデザインの素案をいただいたところ、偶然hokkyokさんからも「NUNOUSで作業服を活用できるのでは」というアイデアを出していただき、「これ絶対面白いですよね!」と盛り上がり、すぐに具体的検討に入りました。

(大川さん)
NUNOUSの持つ独特な質感(木ではないし、木の色でもないのに、木っぽい。でも本物の木目よりもゆらぎのある不思議な感覚)と、まるで木や布のような加工性の良さに魅力を感じています。今回の物件のマテリアルテーマが「REBORN」だったこともあり、使われなくなった作業服からサインを作り出すというストーリーがすぐ頭に浮かびました。実務的なことですが、サインというものの性質上フルオーダーの製作になることから、加工方法や納期スケジュールの見通しを早い段階から相談できたことも採用に至った魅力の一つだと思います。

(藤井さん)
リサイクルされた素材を探していた中で、今まで見たことない素材だったこと。塊の時(STONE)のカッコよさ。このまま(SKINにせず、STONEのまま)でも存在感が抜群に良く、何よりストーリーも幾つも重ねたアップサイクル素材であることに魅力を感じました。姫井さんが、弊社に大量の素材を持って説明に来られたときに、直接見て触ることができ、「新しいデザインの表現ができる!!!」と感じました。また、拝見させて頂いた過去のサンプルの使い方には無かった、新しい使い方を実現して「姫井さんを驚かせてやろう!」という思いもありました(笑)

導入後のご感想は?

(奥谷さん)
竣工後様々な見学会を実施していますが、非常に反響が大きいです。単体で見てもNUNOUSの質感とhokkyokさんのデザインにより非常に素敵なサインになっていますし、作業服から作ったという背景に本当に皆さん驚かれます!NUNOUSはそれ自体が環境に配慮された非常にアピール性の高い素材ですが、それを当社作業服を使って製作することで、プロジェクト自体のストーリーと上手く嵌まって、とても説得力のあるプロダクトになったと思います。

(後藤さん)
通常のオフィス空間は多くがソリッドなデザインで構成されていますが、NUNOUSのサインはポップな印象で、空間をやわらかにしてくれていると思います。社外のお客様に見学していただく際にストーリーを説明すると、皆さん強い興味を持たれます。

(藤井さん)
想像した以上の仕上がりだったので、大変満足しています。サインデザインは、空間の中で人が必ず見るものなので、そのストーリーを知っていれば、一つのコミュニケーションの手段になります。例えば、EVを待っているときに見える階数表示。外部のお客さんが来たときに、今回の作業服から生まれた素材のストーリーが、会話の糸口になればよいと考えていました。そういう意味で、ベストなサインができたと思っています。

(大川さん)
プロダクトに関しましては、積層面の所も斜めにテーパーを取って竹中ワインレッドのストライプが階数表示と同じ数だけ見えるようにSTONE材で設計しました。
質感にもこだわり、柔らかそうだけど立体的なソリッド感も出てきたのが素材自体の魅力も十分伝わっていると感じています。また、トイレや室名のサインも存在感が凄く出ていて、全体のサイン計画のトーンにマッチしています。
天然石のような淡いグラデーション、絵具のかすれのような模様、地層や海溝のような奥行きのある模様、横断面の重ねられた布の層でできるSTONE材ならではのライン模様など、原料がやわらかい布だからこそ魅了できる表情を表現できると感じました。
加工工程との連絡がもう少し密にできればよかったなぁと思う部分がありましたが、今後他の物件でも積極的に提案に盛り込んでいきたいと考えております。

今後向かうべきSDGsやサステナブルの展望、力を入れていくお取組みについてはいかがですか?

(奥谷さん)
会社としては、ステークホルダーや有識者の方々と対話をさせていただきながら先述した取り組みにさらに磨きをかけ、「まちづくり総合エンジニアリング企業」として、サステナブル社会の実現に貢献していきます。
私個人としては、このプロジェクトはSDGsの視点でインテリアデザインにできることを考えるとてもいい機会になりました。
リサイクル材やアップサイクル材を積極的に活用することはもはや最低限やらなければならないことで、さらにそのマテリアルの背景とプロジェクトとの関連性、事業主の取り組みとの親和性などまで踏み込んで考えていかなければ説得力の無い表面的なデザインになりかねない、ということを感じています。
そういった意味で、NUNOUSに当社作業服を活用させて頂けたことは、本プロジェクトのコンセプトの体現性をより強固にする非常に大きなポイントになったと思います。

(藤井さん)
エコマテリアルと呼ばれる再生材や再生技術は、環境に配慮した設計を求めるお客様への反応も良く、デザインストーリーを明確化できるので、常に新しい素材として探しています。
また、サインデザインを行う際、その土地の産業に少しでも還元できれば良いなと考え、その土地土地で永く続けられている技術や素材を使ったデザイン提案を心がけています。

その他

(奥谷さん)
地元が岡山のセイショクさんの工場のすぐ近くで、セイショクさんの工場の煙突は原風景的に覚えています。高校時代、煙突を見ながら自転車で通学していました。何の工場か当時は知りませんでしたが(笑) それから20年経った今、一緒にお仕事させて頂けてとても感慨深いです。

編集後記

「オリジナルNUNOUS(クライアント企業様から発生する、使用済となった作業服から製造)」を、建設業界を代表する企業さまの自社物件(環境に配慮しながらリニューアル)で具現化頂いた事例です。
一見すると価値が無くなってしまった使用済の作業服が、逆にクライアント様ならではのオリジナリティの高い、環境配慮にもなる付加価値の高い原料になります。自分たちに身近な着古した作業服が、魅力あるデザインで全く違う新しいモノに生まれ変わるという、NUNOUSのストーリーとも非常に相性の良い事例でした。

本件は「NUNOUSⓇSTONEにして、それを削り出して、LED内照式のエレベーターホールサインにする」という企画。

最初にアイデアを伺った際、デザインコンセプトが「ribbon(リボン)」で、これになぞらえ、「REBORN(リボーン)」というマテリアルコンセプトで素材を選定したとのこと。NUNOUSの技術で「自分達の身近にあるものがアップサイクルされ、新オフィスで新たな役目を得るというストーリーを伝え、モデルケースにしたい!」とのご要望が、とても視座が高い素敵なコンセプトだと思いました。

ネックだったのは、竹中工務店グループ各社様の作業服から採取できる原料の布のサイズ。
通常我々は幅1500mm~1650mm×長さ50mの反物から500mm×500mmに裁断し、それと同じ大きさの枠の中に布を敷き詰めながら積層しています。

しかし、本プロジェクトでは、採取できた布のサイズが、服の形状やサイズによりバラバラであることが非常に苦労しました。積層作業はバラバラな大きさ・カタチの布切れをパズルのように敷き詰めるため、通常よりも何倍も手間が掛かりましたが、仕上がりの良さを確認して安堵しました。

自社で使用済となった作業服をアップサイクルすることで、企業理念や価値観などのメッセージ性の高いプロダクトをオフィス空間に落とし込みながらも、衣料品の再資源化という課題解決に対する回答も見事に両立されました。

竹中工務店様は、都市の中における位置付けや街との繋がり方を考えて、建物の在り方を設定されますが、未来にやさしい空間づくりを重視して「数十年後の将来にもわたり、価値を持ち続ける空間デザインもサステナブル」であると考えられています。そのような空間にこそ、自社で使用済の作業服をアップサイクルし、素材を最後まで大事に使い切って、次の世代に受け継がせるべきものという美しいストーリーがとてもマッチしています。時代の流れを捉え、かつデザインにも柔軟に対応できる意匠素材としてビルの価値まで高めることができるのだと感じました。

身にまとっていた繊維製品は1つ目の役割を終えた後も、視点を変えるとクライアント様にとってはこれ以上ないオリジナリティの高い原料になり、新たな命を吹き込むストーリーをNUNOUSⓇを活用して実現できます。空間設計やインテリアデザインに携わる方に、それを素材として選んで頂き、新しい視点・アイデアを加え「新たな価値」として輝かすことができれば、真に豊かな空間デザインができると思います。
本件ご採用・具現化に携わって頂いた多くのプロジェクト関係者の皆さまには、心よりお礼申し上げます。末永くご使用頂ければ嬉しいです。


動画:Polar Design Inc. 畔柳尭史

 

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